6.ギター/ベース本体のボリューム、トーンの位置


(ポイント)

・パッシブタイプのピックアップおよび回路の場合、ボリューム/トーンコントロール共に全開(フルアップ)が基本⇒この状態が生音となる

・パッシブタイプでも、フェンダーのジャズベース等の2つのボリュームで2つのピックアップのバランスをとるタイプの場合は、それぞれのボリュームを適度な位置として、音色のバランスをとる

アクティブタイプのピックアップおよび回路の場合、ボリュームコントロールは、ノイズが大きくならないように、またアンプの入力にて音が歪まないような範囲で調整する

アクティブタイプのピックアップおよび回路の場合、各トーンコントロール(イコライザー)は、センター位置(センタークリックによって止まる位置)を基準とし、必要に応じてブースト/カットを行う


(解説)

1.エレキギター/ベースのボリュームとトーンつまみとは?

 エレキギター/ベースは、本来、弦の振動を電気信号に変換し出力するという電気機器ですから、電気信号の各種コントロール用のつまみが付いています。その中でも、必ず付いているのが、ボリューム(音量)とトーン(音色)の調整つまみです。


2.ピックアップのタイプにより、調整機能および調整方法は異なります

 5項で説明したように、パッシブタイプのピックアップおよび回路の場合とアクティブタイプのピックアップおよび回路の場合では、ボリュームとトーンの調整の機能および調整方法が異なってきます。


3.パッシブタイプの場合は?

・パッシブタイプは、弦の振動をピックアップが変換した電気信号をそのまま出力する方式ですから、基本的には本体の電気回路で、音量/音色共に大きく加工することはできません。
 よって、ボリュームが最大状態(右に最大に回した状態)がそのギター/ベースの生音であり、トーン調整についてもつまみを最大に回した状態が生音です。

 従って、パッシブタイプでは、まずこの状態としてから、これを基準として、音量および音色の調整を行いますが、基本的にはボリュームを左に回して音量を下げるとノイズ(雑音)は増す方向に向かい、またトーンのつまみも左に回すほど高音域が次第にカットされるのみの音色調整しかできません。

 このようにパッシブタイプでは、本体の各種調整つまみを動かすと、かえって本来の音質を損なうことになりかねませんので、注意が必要です。近年では、基本的には本体のボリュームとトーンのつまみは全開とし、音量や音色の調整はエフェクターやアンプを使用して、できるだけ本来の音質が損なわれないような状態で行うという方向に向かっていると言っても良いでしょう。


4.ただし、ジャズベースタイプは注意です!

 パッシブタイプでもフェンダーのジャズベースに代表されるような、2つのピックアップを持ったベースでは、ギターとは違い2つのピックアップの切り替え、およびミックスのための切り替えスイッチ(トグルスイッチ)を使用せず、それぞれのピックアップ用のボリュームを使用して、その音量の比率により、音色を設定するようになっています。

 よって、このタイプでは、常にボリュームを全開というわけにはいかず、音色設定においてはボリュームのつまみを途中の位置で止めて使用することになります。(ただし、トーン調整つまみは全開で良いです) この状態は電気回路的には、やはりノイズの問題等から決して良い状態ではないのですが、なにゆえジャズベの回路の設計年代が古いので、やむを得ないというところです。
 とりあえずはレコーディング時のノイズの混入等にできるだけ気を配るということで、ある程度カバーはできますから、あとは個人的見解の問題でしょうか。

 まあ、そのような意味では、パッシブタイプ全般に言えることになりまして、要は本体のボリュームやトーンのつまみを絞った時に、その演奏者が音質の劣化をどれくらい気にするかということでしょう。


5.では、アクティブタイプの場合は?

 アクティブタイプは、ピックアップが出力した信号を楽器に内蔵したプリアンプおよびイコライザーでレベルを増減したり、音色を変えたりすることになりますので、つまみの位置には色々と注意が必要です。要はどの位置が基準(生音)となるかが問題となるわけです。

 まず、ボリュームですが、アクティブタイプはパッシブタイプに比べ本質的にノイズは少ないわけですが、やはり音量を下げ過ぎると、パッシブタイプと同じくノイズが増えてしまいますので、下限としてはノイズが本来の音を阻害しないようなところということになります。
 そして、上限ですが、これは出力を上げ過ぎて、アンプの入力段で音が歪んでしまわないようなところということになるでしょう。本来のピックアップの信号レベルよりも増幅(ブースト)出来るのがアクティブタイプの最大の特徴の1つなわけですが、基本的にはアンプの回路(特に入力部)の性能によって決まることになるかと思います。

 ということで、ボリュームについては、生音のレベルを見つけるというよりも、これらのことを考慮しつつ、基準位置を設定することになります。


 アクティブタイプのトーンコントロールについては、ほとんどのものがトレブル(高音域)、ミッド(中音域)、ベース(低音域)それぞれをブースト(増幅)/カット(低減)できる、いわゆるイコライザー方式になっていると思います。(ただし、ミッドの無いものもあり) これにより、ボディやネックによって基本的に決まる音色に多少の補正ができるようになっているわけです。(基本的にはグラフィックイコライザー等のエフェクターをかけることと同じです)
 通常のものでは、それぞれのつまみについて、センター位置にクリックが付いて半固定できるようになっていると思いますので、この位置が基準(フラット⇒生音)と考えていただければokです。よって、まずはこの位置にして音を出してみて、音色に不満があれば適当な帯域をブースト/カットして、音色を補正していくようにします。

 ただし、さきほどボリュームを上げ過ぎるとアンプで音が歪むと書きましたが、イコライザーもブーストすると結果的に音量レベルが上がり、上げ過ぎると歪みが生じます。音色は良いけれども歪みが発生する時は、イコライザーのつまみはそのままで、ボリュームのつまみを下げ、歪みが発生しない状態に調整してください。