12.ボリュームペダルの活用法
(ポイント)
☆”バッキング時とソロ時”等の音量調節を演奏者が行うには、ボリュームペダルの使用が好ましい。
⇒音量の切り替えをブースターやマルチエフェクトのプログラム設定で行うと、音量の微調整がきかず、またハウリングの原因にもなりやすいので、できるだけ避けたほうが良い。
⇒ボリュームペダルにおいては、高音域の劣化が必ず発生するので、この影響が少ない製品を選ぶ必要がある。
⇒アンプにて歪ませる場合は、ボリュームペダルはアンプのSEND/RETURNジャック間に入れる必要がある。
(解説)
近年のマルチエフェクターでは、ペダルが装備されているのが通常ですが、意外にこれを活用している人が少なく、ワウペダルくらいにしか活用していないという人が多いのが現状だったりします。
しかし、このペダルの存在する第一の目的は、やはり、様々な演奏状況に対して演奏しながら足で音量調整を行うという、ボリュームペダルとしての活用と言えます。
それでも、音量調節を行うボリュームペダルということにおいては、バイオリン奏法用くらいしか思い浮かべないかたも多いようですが、”ボーカルのバッキング時とギターソロ時”、また同じバッキング時でも、”曲の部分部分に応じて”音量調節を行うことにも大いに活用すべきです。
これを行わないと、ギターの音量が大き過ぎてボーカリストの声が聴こえなくなってしまったり、逆にギターの音量が足りなくてギターソロの音が聴こえない等、色々な問題が発生してしまいます。
プロのステージであれば、PA(ミキサー)のほうで音量調整を行ってくれたりしますので、演奏者が全て行わなくても良いわけですが、アマチュアミュージシャンの場合、またプロであっても通常のライブハウス等の会場においては、何らかの方法で自分の楽器の音の音量調整を行う必要があることになります。
ソロ時に音量アップと共に歪みも増したい時等は、アンプの前にオーバードライブ等をブースターとして接続し、これをONすることによって音量のコントロールを行う場合も多いわけですし、また、マルチエフェクターの場合は、レベルの値も各プログラムにメモリーできますので、音量をアップさせたレベルのプログラムを設定しておき、それを切り替えて音量コントロールを行うこともできます。
しかし、これらは、いずれも信号レベルを無理やりアップさせる、いわゆる”ブースト”ですので、ハウリング(フィードバック)の発生を覚悟の上ということになりますし、アンプの入力回路において限界を超えてしまえば、好ましくない歪みが発生することも考えられます。
また、このような場合、切り替えによって、2種類の音量しか設定できない(マルチでは何種類かの設定でのプログラムを作っておけば良いとも言えますが)ので、その中間の音量を出そうとしても不可能であるという欠点もあります。
このような意味においては、ボリュームペダルによって、音量調整を行うことは安全なものとなります。ペダルを最も踏み込んだ状態で、最大の音量をアンプのほうで設定してしまえば、その最大音量と音量ゼロの状態の間の音量を無段階で調節して出すことができます。
また、通常は決してブーストはしておりませんので(ペダルによっては、ブーストできる回路のものもありますが)、これによるハウリングの危険性はありません。さらに、BOSS等のチューナー用のアウトプットジャックを装備している単体のボリュームペダルを使用すれば、ペダルを完全に戻して無音とした状態で、チューニングが可能となるという便利な効用もあります。(マルチエフェクターのボリュームペダルに関しては、他のフットスイッチの操作で内臓チューナーに切り替わるようになっておりますので(もちろん、この時は音量ゼロ)、このことは関係ありませんが)
ただし、ボリュームというものを絞れば、必ず高音域の劣化というものが発生します。これは、ギター本体のボリュームにおいても同様に発生するものですが、ボリュームペダルも同じボリューム(可変抵抗)を使用したものですので、ペダルを戻すと音量が下がるのと同時に多かれ少なかれ高音域が落ちてきます。
この現象に対しては、各メーカー共に色々な対策を打っておりますが、BOSSのボリュームペダル等においては、高域の劣化に関しては、あまり気にならないものになっています。しかし、メーカーによってはほとんど対策をとっていないひどいものもありますので、購入に関しては十分に注意してください。
あと、強いて言えば、ペダルを戻して音量を下げた時は、ギターからの音に対するノイズレベルが上がる(S/Nが悪化する)ということもありますが、これに関しては使用している他のエフェクターとの絡みの問題ということもあり、条件さえ良いものにすれば改善できるものです。(ノイズゲート等の使用も可能ですし)
最後に、マーシャルやブギーのヘッド等、アンプで歪ませている場合、歪みの音色はそのままで音量だけを変えたければ、ボリュームペダルを入れる(接続する)位置は、アンプのSEND/RETURN間となります。
これは、”プリアンプ等にて基本的な音色を作ってから音量調節を行う”という原則に従うゆえのことですが、ペダルの操作のため、アンプから自分の足元まで(シールド)ケーブルを引っ張ってこなければならなくなりますので、けっこうセッティング等がたいへんになります。
このため、ついついこれを面倒くさがって、音量調整を行わずに演奏してしまう人も多いのですが、やはりお客様のことを考えれば、何らかの方法で音量調整は行うべきです。そのためには、やはりボリュームペダルが良いわけですが、これを怠ってしまったばかりに自分のバンドの評価が下がってしまうのも愚かしいことでしょう
⇒このことに関しては、13項の”ボリュームペダルを入れる位置”の内容も参照してください。