初心者のためのワンポイントアドバイス(演奏編)
以下は、ギター/ベースの練習を始めた時期に、注意するべきこと/心がけるべきことを示したものです。
文章や画像では詳細までをお伝えできないものもありますので、疑問点等がある場合には、実際に、当教室まで来ていただければと思います。
<何と言っても、まずは1年間、がんばってみてください!>
多くの人が、楽器を始めてからしばらくして感じることは、”なかなか弾けるようにならないけど、これで本当に良いのだろうか?”ということだと思います。
しかし、まずは1年間は練習を続けてみてください。
他の項目にも書いてありますが、ギターの練習の基本は、”基本練習”、そして、”曲のコピーをできるだけ行う”ということです。
これを好ましい方法で、毎日欠かさず続けていけば、必ず弾けるようになります。
ただし、その効果が現れるのは、少なくとも数ヶ月はかかります。
逆に言えば、1年続けることができれば、ある程度弾けるようになってくるということになりますので、数週間や1ヶ月程度で決してあきらめず、毎日練習を続けていってみてください。
<1日にどれくらい練習すれば良いのか?>
1日の練習量としては、少なくとも、基本練習に30分程度、曲の練習に大半を(1時間以上)、そして残りを教則本等での(音楽理論も含めた)学習に、という感じですが、楽器を始めてから2〜3年くらいは、1日のうち食事と睡眠の時間以外はずっと楽器に触っている、などという時期は必要だったりもします。
ただし、「指や手を壊さない範囲で」ということでもありますので、このあたりの体の丈夫さは人によっても異なるところです。
少なくとも、どこかに痛みを覚えたら(ダルイくらいならば、まだ良いですが)、直ちに練習は中止してしばらく休ませることが必要です。(次の日まで休ませても良いです)
腱鞘炎までいってしまうと、二度と元に戻らない(治らない)場合もありますので、あくまでも自分の体の状態と相談しながら、練習は進めていくべきです。
練習量の割には、やたらと痛くなってしまうような場合は、御自分の体の丈夫さのレベルも去ることながら、フォーム等に問題があるケースもありますので、よく検討することが必要でしょう。
いずれにせよ、とりあえずは、時間(と言うか日数)をゆっくりとかけて上達していくということになりますので、気長に構え、かつ日々継続した効率の良い練習を行っていっていただければと思います。
<何と言っても、まずは、曲のコピーをたくさん行いましょう!>
人がなぜ言葉を話せるようになれるかと言えば、両親等、自分の回りの人達が言葉を話すのを真似しようとするからです。
生まれつき、言葉を知っている赤ちゃんなど、この世にいるわけはありませんから、最初は自分が聴こえるもののコピーから始めざるを得ないということです。
楽器も、これと全く同様で、はじめは自分の中に参考となるデータは何もありませんから、いきなり作曲や伴奏のパターンを考えようとしても、それは無理な話です。
よって、曲のコピーを行うことは、たいへん重要なことになります。
理屈抜きでも、多くのコピーを行っていけば、それを通じてコードやスケールの使い方、またピッキングのニュアンスによる表現の方法などが、自然と身に付いてきたりもするものです。
音楽は、あくまでも感覚的なものが中心になるものですから、いくら音楽理論を学んでみても、決して人の心を動かすような音は出てはきません。
実際に音を聴いて、それを感じて真似ていくことが第一歩となるわけで、それらがたくさん自分の中に蓄積されていくと、それらの中から自分なりの新たなモノも出てくるようになります。
また、さらにその上で、音楽理論などを学べば、より確かなものとなるわけでもあります。
順序は、”音楽理論⇒コピー”ではなくて、”コピー⇒音楽理論”となることに十分注意してください。
ということで、ギターを始めて最初の2〜3年は、無理にオリジナル曲等を作ろうとはせず、自分が好きな曲のコピーをじっくりと行っていってください。
ただし、曲数は多くなくても良いわけで、少ない曲数でも細かいところまでじっくりとコピーしたほうが、良い結果が得られるものです。
経験の浅いうちにオリジナル曲オンリーでやってしまったような人は、よほどの天才でない限り、レベルの高い演奏者にはなっていないものです。
<市販されているスコア譜はあてにならない!?>
市販されているバンドスコアや、web上にあるスコア譜/タブ譜などは、思った以上にミス(内容の誤り)が多いものです。
有料のものでも、期限を切られて仕上げたりするものなので仕方がないのでしょうが、あくまでも参考程度と考え、できるだけ自分で耳コピーができるようにもしていった方が良いものです。
とは言え、初心者のうちは、スコアのタブ譜をあてにせざるを得ませんので、まずは、スコア譜を見ながら弾いてみるということで構いません。
ある程度、経験を積んでいくと、色々な問題点なども見えてくるものです。
最終的には、「まずはスコア譜を見ずに耳コピーを試みるようにし、自分なりにある程度推測を行ってからスコア譜を見て比べ合わせ、さらに検討する」というような形に持っていくのが理想となるかと思います。
<耳コピー/音の確認時には、速度(テンポ)を落とすことのできる機器やソフトで>
耳コピーにて、ギターソロやベースラインなどを聴き取る際には、1音ごとに区切って、細かく聴き取っていくことなどが必要になります。
このような場合、もとの速度(テンポ)では、聴き取りが不可能な場合もありますから、やはり、速度を落とすことのできる機器の使用は欠かせないものとなってきます。
近年では、音の高さ(ピッチ)はそのままで、曲の速度(テンポ)を下げ、細かい所まで聴き取りやすくできるようにできる再生ソフトなども多くあり、無料でも手に入れやすくなっていますので、大いに利用すべきでしょう。
<チューニングは、チューニングメーター(チューナー)を使わないほうが耳が良くなる??
そのとおりであることは確かです。
チューナーを使用せず、音叉などを使って5弦の音を合わせてから、ハーモニクスでのチューニングを行う等のほうが、絶対音感を養い、耳を鍛えることにはなるでしょう。
ただし、ライブやスタジオでの限られた時間内でのチューニングにおいては、そのようなことを行っている暇は無いですし、ハーモニクスの音も聴こえにくいということもありますので、通常は、チューナーを使用してチューニングするということで、全然構いません。
実は、絶対音感を養うために重要なことは、”チューニングにどのような道具を使うか”ではなく、”チューニングをどのような過程で行うか”ということにあります。
例えば、普段の自室での練習時のチューニングにおいても、まずは、チューナーを全く使用せずに、感覚(絶対音感)だけで合わせてみるということにトライするようにします。
これで、たぶんここであろうという音に合わせられたならば、次に、チューナで確認を行ってみるわけです。
慣れてくれば、感覚だけでも、かなりの精度で合わせられるようになってきます。
すなわち、感覚である程度合わせた後に、チューナーを使用して”確認/仕上げ”を行うという過程をとるわけで、このようなことでも、十分に絶対音感の訓練になるということです。
もちろん、このような絶対音感を付けていくには、ある程度の経験と慣れが必要ですので、初めのうちはチューナーで最初から合わせてしまっても構いません。
ただし、その場合には、各弦の開放の音を声に出してみたりして、その音を感覚的に覚えていくことなども、同時に実施してみてください。(これは、後々、耳コピーの場合等にも役立つことになってきますので)
ギターを持っていない時等でも、普段から開放弦の音の高さを(6弦または1弦から)順番に声に出すようなことを行うのも効果的です。
<チューナーでのチューニングは、弦の振動を安定させてから行なう>
チューナーを使用してチューニングを行なう場合に、絶えず何回もピッキングしながらチューニングしている人をよく見かけます。
しかし、一回ピッキングして音を出せば、しばらくは弦は振動し続け、音も出続けます。
特に、12フレットのハーモニクス音を使えば、少なくとも10秒以上は音が継続しますので、短い間隔で何回もピッキングする必要はありません。
また、ピッキングした直後は、弦の振動状態が安定せず、この状態での振動に含まれる倍音等の関係で、幾分音が高めに表示されてしまうこともありますので、このことからも、何回もピッキングはしないほうが良いことになります。
一回ピッキングしたら、少し待って安定させてから、その状態のままでチューニングを行なっていってください。
<基本練習は、まずはクロマチックパターンから>
1日の中での練習内容については、「”基本練習” ⇒ ”曲での練習”」という流れが、少なくとも必要です。
しかし、フィンガリングとピッキングの練習については、”手や指への負担”や”練習の煮つまり度”を考えると、それほど長時間行うのは無理がありますので、できるだけ短時間でかつ効果的な練習内容とするべきかと思います。
教則本等には多くの種類の基本練習のパターン等が載っておりますが、これでは量が多すぎて、現実的には、とても毎日こなせるようなものではありません。
また、それらが、実際の曲に使われるようなパターンであれば、曲をコピーしていく中でも、いくらでも出てきますので、コピーの中で行えば済むことになります。(曲コピー中において、その部分を取り出して、様々なテンポで反復練習していく、という条件でのものですが)
このようなことを考えると、フィンガリングの基本練習については、少なくとも、一般的な”クロマチックパターン”を行えば十分とも言えます。
人差し指から小指まで(または小指から人差し指まで)順に1フレットずつ押さえていく(離していく)ものですが、教則本等によくあるように、フレットをずらしながら指板上を全て弾いていくようなものは必要ではなく、例えば、以下のような「2弦の5フレットから8フレットまで」の1ポジションだけでも構いません。
クロマチックパターンの1例 ⇒PowerTabファイル
ただし、「次のポイントは守る」という条件付きになります。
1.まずは、できるだけゆっくりと弾いていく。(メトロノームは使わなくても良いです。)
2.一度押さえた指はその場所(フレット)を押さえたままにして、指を離さないようにしながら全部押さえていく。
3.小指まで押さえたら、いったん止まって、各指が同じ幅で均等に開いているか(4フレット幅で開いているか)をチェックする。
また、指先の適度な位置で弦を押さえているか(⇒弦をしっかりと押さえるということだけでなく、ハンマリング・オンやプリング・オフ等のテクニックに対しても重要な要素となります。)、また、弦を下方に引っ張ってしまっていないかどうか等もチェックし、もし問題があれば解決するように注意していく。
4.小指から人差し指へ戻るパターンの場合は、いったん4本の指でそれぞれの担当のフレットを押さえてしまってから、小指から順番に1本ずつ指を離していくようにする。
このパターンで弦を移動する時も、次の弦をすばやく4本の指全てで押さえてしまうようにすることが必要。(プリング・オフの場合の指の動きあたりを考えれば、このようにしたほうが良いのは明白でしょう。ただし、実際の演奏においては、”可能な限りこのようにする”、といった程度で良いです。)
以上のようなポイントを十分に確認しながらとなると、実際には、上記のような1つのポジションだけでもけっこう大変だと思いますので、全部を行うというのは余裕がある時だけで良いということになります。
”クロマチックパターンの練習”というのは、結局は、いかなる時でも4フレット幅以上で指を開けるようにすることと、各指をできるだけ分離して、無駄なく動かせるようにすることが目的であることを理解していただければ良いと思います。
様々な曲を弾いていくと、色々なテクニックやフィンガリングのパターンに出会うことになりますが、クロマチックパターンでの指のフォームや動きは、結局はこれら全てのものにつながっていることがわかってきます。
したがって、クロマチックパターンをしっかりと練習しておかないと、何事も始まらないと言えるのです。
<ピッキングはオルタネイトピッキングが基本>
ピッキングにおけるダウン/アップの順番の方法には、変則的なものも含めて色々なものがありますが、何と言っても、ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返して弾いていく”オルタネイトピッキング”が基本となります。
したがって、ピッキングについては、オルタネイトピッキングの練習をすることがまず第一となります。
この練習のお薦めとなる方法の1つとしては、”どこか1音だけで良いですので(指板上の指は動かさなくても良い)、その音だけについて、メトロノームに合わせ、オルタネイトで4分音符、8分音符、16分音符でそれぞれ2小節ずつ弾くというパターンを繰り返して行う”というものがあります。
最初は、テンポ60くらいからスタートし、少しずつテンポを上げていくようにします。60〜80あたりのテンポが遅い部分では、4分音符を正確に弾くのがきつく、逆に130以上くらいの速い部分では、16分音符を正確に弾くのがきつくなってくると思います。
また、ピック弾きで、アップピッキングに慣れていないかたは、ダウン/アップを均等に弾くことも大変かと思いますが、いずれにせよ、このような練習方法で行えば、ピッキングの安定度とリズムの把握の方法を集中して向上させられると思います。
基本を固めるには、”シンプル、かつ1つの要素に絞った内容を長時間安定して続けられるようにすること”から始めるのが、最も効果的な方法となるものです。
<弦は横方向へピッキングしましょう!>
弦楽器というものは弦が大きな幅で振動してくれないと、十分な音量/音質で音が出ないものです。
したがって、ピッキングの際には弦を横方向、すなわち、となりの弦の方向に向かって十分に押してやってから(または引いてやってから)離すようにするということが基本中の基本となります。
これは、となりの弦に指を当てるようにして行う(⇒アポヤンド奏法)、ベースのフィンガーピッキングの基本動作を考えると、良くわかるでしょう。
初心者の頃は、弦を上方向に跳ね上げてしまったり、ギターの上面方向へ弦を押し付けるようにして(特にダウンピッキング時には)行ってしまいがちですが、これでは弦は横方向へ振動してくれなくなり、十分な音量/音質の音は決して出てきません。
まずは、可能な限り、ピックまたは指で弦を横方向に押してみてください。
そして、限界まで達したら、弦を離せば良いわけです。
そのようにすると、今まで予想もできなかったような大きな音量、かつしっかりと輪郭のある音が出てくるはずです。
また、上記のようにすれば、アンプのボリュームをあまり上げなくても、ノイズ(雑音)の少ない大きな音が出ることにもつながり、さらには、ロックギターでは多用される”音を歪ませる”ということにおいても、多くのメリットが生まれることになります。
⇒ただし、ダウンまたはアップのみで比較的ゆっくりと弾く場合には、”ギターの上面方向に向かって弦を押し付けるようにピッキングすると、高域の倍音が増えて、音の輪郭が明確になる”といったこともあります。
しかし、これらに関しては応用編として考えたほうが良く、基本を完全にマスターしてから行うべきものとなるでしょう。
<ピッキングは、手首または腕全体の動きで行いましょう!>
上述したように、「十分な音を出すための横方向へのピッキング」を行うには、指での動作をメインとして行うのではなく、手首全体、または、ひじから先の腕全体の動きで行うことが重要です。
指先でピックを押し出すようにしてピッキングしたり、指の関節の曲げ伸ばしでピッキングを行ったりすると、十分な強さでの動作が出来ないばかりか、リズムが安定しなくなるという大きな問題が発生しがちです。
まずは、手首や腕を上下に振るという動作にて、全体で弾くということを常に心がけていってください。最初は違和感があるかと思いますが、慣れてしまえば、逆にこちらのほうが弾きやすくなるはずです。
⇒ただし、応用編としては、指の関節の曲げ伸ばしを利用してより速く弾くことを目的とするようなピッキング方法(→サークルピッキング)なども存在します。
<腕や手首をギターに接触させ、安定させることが超重要!>
手首や腕の動作でピッキングを行う場合、最初は、手首がふらついて各弦に対する位置が定まりにくく、目標の弦を弾きにくいといったことになると思います。
この対策としては、手や腕のどこかをギター上面やブリッジ等に接触させて、手首位置の安定を図ることになりますが、まずは、ひじから手首にかけての腕部分をギターに十分接触させることあたりが条件となります。
手首まわりを、弾く必要のない弦に接触させても構いませんし、薬指や小指を伸ばしてギター上面に接触させて安定させても良いことになりますが、あくまでも手首や腕を上下に振る動作でのピッキングが重要ですので、それらの動作の妨げとならないような程度で、ということになります。
<クロマチックパターンとオルタネイトピッキングに慣れたら、スケール練習もプラスしてみましょう!>
上述したような「クロマチックパターン」にてフィンガリングの基本を体得し、また、これも上述した練習方法でオルタネイトピッキングにも慣れてきたら、これらフィンガリングとピッキングの総合的な練習として、メトロノームに合わせてスケールを弾く練習をすればよろしいかと思います。
スケールは、これまた時間的な問題から、Cメジャースケール(ドレミファソラシド)の各スケールポジション(指板上の1オクターブ(12フレット分)を4〜5フレット幅で分けた5つか6つのスケールポジション(シェイプ)で良いです)のみで行えば十分でしょう。(これらのスケールポジションは、教則本等に載っておりますので参照してください)
各ポジションについては、ただ1音ずつ上ったり下ったりするパターンではなく、4音ずつずらしながら上り下りするパターン(ドレミファ⇒レミファソ⇒ミファソラ⇒・・・)等が効果的です。
また、これらの練習は、メトロノームを必ず使用してスローテンポから、順次テンポアップして練習していけば、スケールポジションの形を早く覚えることにもつながります。
<指の柔軟運動は効果があるのか?>
フィンガリングを向上させるということで、ギターを持たない状態で、となりどうしの指を大きく開く運動を行なうこと等が、よく本に載っていたりします。
また、このような行為を常に推奨しているギタリストのかたも、いらっしゃいます。
しかし、私の経験から考えると、ギター無しでの、この種の運動がフィンガリングにどれくらいの効果をもたらすかは、何とも言えませんです。
ギターのネックと同じ形状の器具を握ったりして使用するならばともかく、指を開いて(パーの状態で)どれくらい指の角度が開くか等ということは、ギターを弾く場合の態勢とはあまりにも異なりますので、ほとんど関係の無いことでしょう。
少なくとも、左手でネックに見立てた右腕を握る等のことをすれば、多少は効果があるかもしれませんが、やはりギターを実際に持って練習するのが一番であろう、ということです。
<練習時は、できるだけメトロノームを使用して、スローテンポから徐々に上げていく>
その部分のフィンガリングを覚えたら、直ちにメトロノームを使用して、まず遅いテンポに設定して弾くことから始めてください。
いきなりCDに合わせて弾こうとしてもきついでしょうし、もし弾けたとしても、それはうわべだけのもので実際には決して正確に弾けておらず、ゴマかしている場合が多いのです。
まずは、実際のテンポの半分くらいの速さから始め、そのテンポで問題なく弾けるようになったらテンポを5くらい上げてまた行い、それが出来たらまたテンポを5上げる・・・というように段階的にテンポを上げながら行い、最終的に実際のテンポで出来るようにという段取りで行ってください。
実行してみると、意外に遅いテンボで弾くのは難しいことに気づくと思います。
このように行うことは、時間がかかってしまい、面倒くさいと思われるかもしれませんが、いきなり実際のテンポに合わせようとして、何日/何ヶ月もかけて練習するよりも、意外に早くマスターできるのです。
重要なことは、「基本さえしっかりとできていれば、遅いテンポで確実に弾けるものは、速いテンポでも必ず弾ける」ということで、「速いテンポでは弾けるけれども、遅いテンポになると弾けない」というのは、「実は、遅いテンポでも正確に弾けていない」という可能性が高いのです。
また、メトロノームの使用については、”待ってはくれない状態”を手軽に作ってくれるということも、メリットの1つです。
自分のテンポだけで弾くと、弾き易いところは速く弾くけれども、弾けないところになると速度が落ちる、というように無意識にもなってしまいます。
実際のバンドでは、ドラムは待ってはくれませんから、そのようなことでは実際には通用しません。
よってメトロノームを使うと、”待ってはくれない状態”を作り出してくれるので、常に練習に際してプレッシャーを与えてくれます。
プレッシャーを与えられるとつらいわけですが、そのようでないと絶対に上達はないのです。
<練習時は、できるだけ録音して聴き直そう>
まずは、バンドでスタジオ練習するときは、「録音して聴き直す」ということは当たり前と思ってください。
しかし、さらに、個人で練習する時も録音するようにすると、上達が非常に速いのです。
と言うか、「聴き直さない限り上達は無い!」とも言えます。
ということで、実行していない人は、ぜひ一度お試しください。
録音は、携帯に付いている機能でも何でも良いです。
これにおいては、まず、メトロノームに合わせての練習を録音して聴いてみてください。
メトロノームの音に合わせて弾いているつもりが合っていなかったり、ピッキングの強弱が一定せずにバラついていたりして、あまりのひどさにあぜんとするでしょう。
ようするに、弾きながらリアルタイムで自分で聴いている状態は全くあてにならないわけです。
聴きなおすと必ず落ち込みますが、落ち込んだ瞬間に上達しているのです。(⇒自分の欠点が非常に明確にわかるからです。)
というわけで、個人練習も録音すると、驚くほど上達することを保証します。(スタジオにおけるバンドでの録音等は音が埋もれてしまって、結構うまく聴こえてしまったりするものでもあるので)
<演奏するジャンルに合わせてピックは選ぶべきです>
・世間には様々な形状/厚さ/材質のピックが存在しますが、演奏する曲のジャンルに適切なピックの種類というものがあります。
一般的に言えば、コード弾きには大きく薄いピックが向いており、ギターソロ等の単音弾きには小さめで厚さが厚めのピックが向いています。
そして、ピックの”厚み”、”先端の角度”、そして”材質”も、基本的な要素となります。
厚みがあるほど、また先端が鈍角であるほど、ピッキング速度を上げやすくなりますが、音質的には高音域が損なわれこもった音になります。逆に、薄く、先端が鋭角であるほど高音域が出て抜ける音質になりますが、ピッキング速度は上げにくくなります。
また、厚いほどピックがしならないため、単音弾きには向いておりますが、コード弾きには向いておりません。(薄いピックでは、この逆になります)
材質については、弦を弾くことによって、粒子(粉末)状になって適度に削れていくような材質のものが適しています。
ビニール系のような材質は、粒子状になって削れていかないので、一般的には弾きにくいものになります。
また、金属製ピックのような全く削れないものでも良いのですが、弦のほうが磨耗してしまうことと、やはり、しなりにくいためコード弾きには不向きなものとなります。
<ピックは、強く持ち過ぎない>
・ピックの持ち方については、通常は、人差し指と親指でピックをはさむようにして持つことになりますが、この際、ピックを持つ力(はさむ力)は、状況に合わせて適度にコントロールする必要があります。
初心者の頃は、”演奏中にピックを落としてしまわないか”という心配からも、強い力でしっかりとピックを持ってしまいがちです。
しかし、ピックをあまり強く持ち過ぎてしまうと、ピッキングの際に弦がスムーズにピック先から抜けてくれず(⇒ピックに弦が引っ掛かりやすいということです)、ピッキング動作の妨げになってしまいます。(⇒ピッキングの速度を上げることができなくなったり、リズムの乱れが発生したりすることになります。)
また、コード弾きを行う際にも、強く持ち過ぎてしまうと、各弦の中で特定の音だけが強く出てしまい、きれいな和音にならないとか、スムーズなコードカッティングが出来ずにリズムが乱れる等、色々な問題につながることになります。
したがって、適度な力でピックを持つことを行い、弦がピックに当たることによってピックが傾くというような状態を利用する等して、状況に応じた形を作ることになるわけです。
薄いピックの場合は、ピックがしなることによって弦が抜けやすいと思われるかもしれませんが、この場合は逆に、単音弾き時にピックがしなり過ぎることを防ぐために多少強く持つようにする等、やはり力のコントロールが必要になります。
すなわち、どのようなピックを使おうとも、ピッキング動作のスムーズさや、リズムの安定度には、”適度なピックを持つ力”ということが重要な意味を持つことになるわけです。
また逆に、このことが、ピックの厚さによる単音弾き/コード弾きへのハンディ等を補ってくれるということもあります。
近年は、ロック系ギターにおいては、厚さのあるハードタイプのピックの使用が主流となっており、ピックのしなりの度合いも小さい場合が多いですので、初心者のかたも、この”ピックを持つ力のコントロール”ということは、ぜひとも意識してみてください。
一気にピッキングの技術が向上する可能性もあります。
<やはり最後に悩むのは、「ピッキング」です!>
・ライブ等において、「良好な音質で抜けの良い音」が出ないということで、悩んでいる人は多いようですが、その原因の多くは、ピッキングの方法によるものです。
エレキギターは電気にて音を出しているとは言え、基本的には弦楽器です。
ギター本体のボディやネック等の材質等も全て音質に影響してきますから、弦をしっかりと強く弾いて、大きい幅で振動させてやらなければ、ギター本体も振動せず、そのギターが本来持っている音は出てきません。
また、本体そのものから出てくる生音がしっかりとしていなければ、それをエフェクターやアンプで良い音にすることも不可能です。
ということで、上述したように、ピッキングのコツとは、瞬発力を十分に使用して、なるべく強くピッキングを行い、メリハリのきいた音を出すということです。
もちろん、必要に応じてピッキングの強さをコントロールし、音での表現をすることになりますが、要はピッキングの強さの最大値をなるべく大きくしておかないと、強弱のコントロールがより大きな幅で自由にできないということでもあります。
このためには、まずは手や腕を鍛えていく必要があり、やはり年月を必要とします。
したがって、なるべく早いうちからこのことを十分に意識して練習していくべきでしょう。
指がある程度思い通りに動かせるようになったら、次はピッキングに注目してみましょう!
<一般的なロック系ギターでは、ネックを握るのが基本>
・ギターやベース等のネックの握り方(グリップ)は、親指先をネック裏に付け、その他の指をフレットと平行に伸ばす「クラシックスタイルのグリップ」と、親指を指板上に出して、その他の指をフレットに対して斜め平行に伸ばしてネックを握りこむ「シェイクハンドグリップ」の2種があります。
ベースにおいては、フレット幅が広く、太い弦をしっかりと押さえる必要もあることから、指を開きやすい「クラシックスタイルのグリップ」を基本にすることが多いですが、一般的なロック系のギターでは、「シェイクハンドグリップ」が基本となると言えます。
これは、チョーキング(ベンド)時の音程の精度を高めるためと、指を寝かせて他の弦をミュートする必要があるため(ロックギターは音を歪ませるため、雑音対策でよりミュートが重要なのです)によるものです。
親指をネック裏に添え、指をフレットと平行に伸ばすクラシックスタイルのグリップでは、指が開きやすく、ネック上のポジション移動も行いやすくなりますが(ネックに対する接触面積が少ないことによります)、チョーキングやビブラートを行いにくく、また開放弦のミュートによるノイズ対策も行いにくくなってしまいますので、チョーキングを一切使用しないという人ならばともかく、一般的なロック系の演奏には不利なものとなってしまいます。
従って、まずはシェイクハンドグリップをメインとして(親指で6弦をミュートできるような体勢が基本となります)、ワイドストレッチや速いポジション移動が要求される時など、やむを得ぬ時だけクラシック/ジャズスタイルとするのが基本的なアプローチとなります。
シェイクハンドでも訓練次第で結構ストレッチできますし、スウィープピッキングを使うパターン等でも雑音をミュートするという点では有効となることが多いものです。
イングヴェイやインペリテリ等も教則ビデオを見ると、少なくともチョーキングを多用する際(ブルース系的プレイ)は見事にシェイクハンドになってますよ。(⇒状況に合わせて、両者のグリップを使い分けるべき、ということです。)
クロマチックパターン等で運指の基礎練習をする時も、最初は指を開きやすいクラシックスタイルのグリップを使ってしまいがちですが、できるだけシェイクハンドで行うようにしましょう。
そのようにしないと、それまでの練習時間が無駄になってしまいます。
また、小指も他の指と同じように活用できるようにすることも忘れずに。
さらに、5,6弦を弾くときもシェイクハンドを維持するようにすべきです。
最初はきついと思いますが、練習を積めば必ずできるようになります。
ポイントは小指の長さの不足分を手のひらを出して補うことです。(やはり同じフォームでできるだけ通した方が、結局効率が良いということです。)
また、これができるようなネックの太さのギターを自分の手の大きさに合わせて選ぶというのも、重要事項となります。
−−シェイクハンドグリップでのポイント−−(下の写真も参照してください)
1.手の平は、ネック裏面になるべく近づけるようにする。 ただし、ネック裏にぴったりと密着させてしまうと、ポジション移動時等に障害となるので、少々のすき間(1cm〜2cm程度)は設ける。
2.ひじは自分の体に着けないようにし、わきを開けるようにする。 ひじの高さを、ネックの高さに等しいようにすると、チョーキングおよびビブラートの動作を最も行いやすい状態となる。
3.1と2のことから、手首は逆90°に近く曲がるようにしてネックを握り込むような体勢となり、かつ手首からひじにかけての腕はネックに対して垂直となる。(ネックと腕がT字型になる)
4.親指はとりあえず6弦に接触していれば良く、人差し指と指板の端部に余裕(すき間)ができるような、手の平の位置とする。(人差し指と手のひらの付け根が、指板の縁部分くらいになるのが基準となる。)
5.各指は指板上で立ち過ぎないように、かつ寝かし過ぎないようにする。 人差し指は押さえている弦よりも高音弦側は、全て指の腹でミュートできるようにし、他の指は押さえている弦よりも1本高音弦側の弦を指の腹でミュートできるような状態(指板に対する角度)となることが基準。
6.指板の真上から見た状態にて、各指は全て、フレットに対して斜め平行に並んでいるような状態となる。 クラシックスタイルのグリップ時のように、各指がフレットと平行になってしまってはいけない。
シェイクハンドスタイルでのグリップ
クラシックスタイルでのグリップ
6弦でのシェイクハンドグリップ
<ただし、クラシックスタイルのグリップもおろそかにしてはいけない>
上述したように、チョーキングを多用するような一般的なロック系ギターの演奏においては、シェイクハンドグリップの使用は避けては通れないものではありますが、将来的に見ると、自分の演奏する曲の方向性によっては、シェイクハンドグリップを使わず、クラシックスタイルのグリップのみでいくといったことも考えられます。
チョーキングの類を使うことが少ないジャズギターではもちろんですが、同様にチョーキングが少なくなるようなネオクラシカル系等の速弾き系ロックギターにおいては、クラシックグリップしか使用しない人も多いものです。
クラシックスタイルのグリップのデメリットとしては、「チョーキングの精度を上げにくい 」、「指先が立ち気味になるので、ノイズのミュートを行いにくい」といったことがあるわけですが、演奏する曲のスタイルによっては、また、それなりの練習を積めば、あまりデメリッ
トにならないことにもなります。
クラシックグリップにて、チョーキングを精度良く行うギタリストも少ないながらいらっしゃいますし、スウィープピッキングを使うフレーズ等においては、人差し指のセーハ(バレー)を使いやすいクラシックグリップのほうが、かえってノイズのミュートを行いやすいといったこともあります。(⇒人差し指のセーハの体勢を使ってノイズが出ないようにミュートするということです。)
ただし、やはり、初心者の頃は指を開きやすいクラシックスタイルのグリップに何かと逃げがちであるので、「シェイクハンドグリップを嫌がらずに練習しておきましょう」ということにはなるわけです。
このようなことで、クラシックグリップもまた決しておろそかにせず、細かいことにも気を配りながら、余裕がある限り練習しておくべき、となります。
特に、以下の画像のように、指が第二関節部分を中心に外側に開いてしまい、”ガニマタ”のようなフォームになってしまっている人を良く見かけます。
しかし、この状態では、ハンマリング・オンを行う際等に効率の良い動作を行えない可能性があるので、やはり見かけ上も美しいフォームを心がけていく必要があるかと思います。
指がフレットと平行に近くなっている好ましいフォーム
指が外側に開き気味で、ガニマタ的な状態になっているフォーム
<チョーキングとビブラートはすごく練習しましょう>
チョーキング(ベンドとも言います)とビブラートは、ものすごく重要です。
これがうまくできると、ギターも実力以上にうまく聴こえたりするものであり、プロっぽく見せる(よくない言い方ですが)ポイントのひとつと言えます。
しかし、ビブラートとチョーキングは、タッピング、スウィープ、スキッピング等のハイテクな技よりも、実は難しいものとも言えます。(他のハデな技に比べて練習量が少なくなってしまいがちであるゆえ、結果的に難しいとも言えるのですが)
ポイントとしては、「シェイクハンドグリップを使い、指の曲げ伸ばしで行わず、手首のスナップでかける」ということです。(ブルースギタリストのビデオ等を見るとよくわかります。)
また、かけているときにネックが上下に動いてしまうのは、正しくできていない証拠です。
ネックは静止させたまま、スナップでかけるというのを忘れずに。
とにかく、できるようになるには時間がかかるので、毎日練習するようにしましょう。(この動作に使用する手や腕の部分は、日常生活では使用しないものなので、余計に慣れるまで時間がかかるのです)
クラシックスタイルのグリップで行なうことも可能ですが、シェイクハンドでの手首のスナップでかける場合と同様な精度を出すためには、遥かに練習時間を費やす必要があります。
クラシックグリップでチョーキングを行なっているかたもいらっしゃるかもしれませんが、自分が本当に正確な音の高さ(ピッチ)で精度良く行えているかどうかなどを再確認してみてください。
<譜面は読めたほうが良いの?>
通常のロック系のギター/ベースの譜面においては、五線譜またはタブ譜が使用されます。
譜面は読めなくても、バンド活動を行うことができますし、プロのかたでも譜面を読めない人がたくさんいるのは事実です。
しかし、教則本等を使用しての個人での練習においては、少なくともタブ譜を読むことは必要ですので、音符や休符の種類、およびその長さ関係を知っておくことは必須となります。(五線譜/タブ譜共に、音符/休符等の記号の付記は共通です)
学校の音楽の時間に学ぶ程度で十分ですので、このあたりは復習または学習しておきましょう。
<演奏中は、音量調整を行いましょう!>
バンド演奏時に、ボーカリストが歌っている場合のいわゆるバッキングの演奏時、およびギターをソロを弾いている時等、場合に応じてギター(アンプ)からの音量は調整するべきです。
常に同じ音量ですと、客席においてボーカリストの歌声が聴こえなかったり(ギターの音量が大き過ぎる場合)、逆に、ギターソロが聴こえなかったり(ギターの音量が小さ過ぎる場合)といった問題が生じてしまいます。
よって、これらの問題を解決するためには、何らかの手段でギターの音量を調整する必要がありますから、必ず実施するようにしてください。
ついついめんどうなので、これを行わないかたもいらっしゃいますが、上記のような問題が生ずると、バンド全体のイメージとしても、個人のプレイヤーのイメージとしても、大変悪いものに映ってしまいますので、注意してください。
音量調整の方法に関しては、ボリュームペダルの使用が最も良いこととなりますが、詳細については、”初心者のためのワンポイントアドバイス(器材/操作設定編)”のページを御参照ください。